C型慢性肝炎と肝硬変

専門医に聞く

C型慢性肝炎とその治療について、患者さんまたは日ごろ自分の健康に関心のある方が知りたいこと、疑問に思うことなどについて、豊富な治療経験をお持ちのお2人の肝臓専門医、国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 分院長 熊田博光先生と大阪大学 名誉教授/関西労災病院 病院長 林紀夫先生にお話をいただきました。


C型慢性肝炎とはどんな病気ですか?
C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルスの感染により肝臓に障害が起こる病気で、初期には症状はほとんどありませんが、病気が進行すると様々な症状がみられます。従って、過去に輸血をしたことがあるとか、あるいは医療機関で手術をしたことがあるとか、家族に肝臓の悪い人がいるときは注意が必要です。

専門医からのコメント

熊田 :
簡単に言いますと、C型慢性肝炎とは肝炎を起こすウイルス(C型肝炎ウイルス)の感染により、6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続き、肝臓の細胞が壊れて肝臓の働きが悪くなる病気です。

どんな症状がありますか

林 :
慢性肝炎はこれといった自覚症状がないのが特徴です。血液検査で、肝臓の細胞が壊れたときに血液中に出てくるAST(GOT)、ALT(GPT)という酵素の値が高いと肝炎が疑われますが、C型慢性肝炎かどうかは、C型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べる血液検査を受けなければ分かりません。ですからC型慢性肝炎にかかっていてもそれと気づかず、健康診断や献血あるいは他の疾患の治療の際に検査で発見される場合がほとんどです。もちろん病気が進行して肝硬変になると、足にむくみが出てくる、顔に血管が浮いてくる、こむらがえり(足がつる)といった症状がみられます。その他、何となくだるい、尿が濃くなるなどの症状がみられるようになります。
熊田 :
C型慢性肝炎は症状がないことが特徴と考えた方がよいですね。
ですから、自分はウイルスなどもっていないと思っても、過去に輸血をしたことがあるとか、あるいは医療機関で手術をしたことがあるとか、家族に肝臓の悪い人がいるときは、ひょっとしたら自分もC型肝炎かもしれないと思うことこそが大事なわけです。
C型慢性肝炎の患者さんが専門医に受診するきっかけ
C型慢性肝炎の患者さんが専門医に受診するきっかけ

※専門の施設のデータなので他の病医院からの紹介が多くなっていますが、一般的には健康診断や献血などの際にC型慢性肝炎が発見される場合が多数を占めています。

C型慢性肝炎を治療しないとどうなりますか?
C型慢性肝炎は大部分が進行性で、知らないうちに肝硬変、肝がんへと進んでいってしまいます。いったん、肝がんになってしまうと、その5年生存率は切除手術をしても50%くらいといわれています。

専門医からのコメント

熊田 :
この病気は進行性で、仮に100人の人がC型肝炎ウイルスに感染したとすると65〜70人が慢性肝炎になります。いったん慢性化しますと肝臓の病変が軽いままで経過することもありますが、大部分が進行性で、慢性肝炎が続いていると肝硬変、肝がんへと進んでいってしまいます。

C型慢性肝炎の自然経過

治療しないと、10〜30年後に肝硬変、肝臓がんに移行しやすい
C型慢性肝炎の自然経過

肝硬変になるとどうなりますか

林 :
長期の慢性肝炎で細胞が壊れ続けると、それを埋める形で肝臓の線維成分が蓄積します。これを線維化といい、線維化が進行して肝臓が硬くなった状態が肝硬変です。肝硬変になると肝がんだけでなく、食道静脈瘤の破裂や肝性脳症など命に関わる重大な合併症が起こりやすくなります。

肝がんについて教えてください

熊田 :
日本人の死亡原因の第1位はがん(悪性腫瘍)ですが、なかでも肝がんによる死亡者数は1970年代半ばと比べると約3倍に増えて3万人を超え、肺がん、胃がんに次いでがん死亡の第3位を占めるに至っています。そして肝がんの約80%はC型慢性肝炎が原因であることがわかっています。 現在肝がんの治療法も進歩して5年生存率は50%くらいになっており、今後も早期発見が進むとさらに上昇していくと思いますが、初診時にすでに肝がんが広がっていて、手がつけられないという人が外来患者の2割くらいあるのが現状です。
林 :
高齢者における肝がんの増加はおそらく2010〜2015年くらいまで続くのではないかと予測しています。最近の大阪でのC型慢性肝炎による肝がんの死亡率の傾向をみると、65歳以上では依然上昇傾向にありますが、65歳以下ではやや低下しています。ただ、これは肝がんの発生率が低下したのではなく、治療の進歩によって65歳以下で見つかった肝がんの患者さんが最終的に亡くなるのが65歳以上ということだと思います。
肝がんを切除した場合の生存率
肝がんを切除した場合の生存率

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